H-IIAロケット17号機用フェアリングを出荷

2010年02月08日

 

 

川崎重工は、H-IIAロケット17号機用衛星フェアリング※1を当社岐阜工場(岐阜県各務原市)での設計・部品製造を経て、播磨工場(兵庫県播磨町)にて組立後、種子島宇宙センターに向けて出荷しました。本衛星フェアリングは、種子島宇宙センターで打ち上げを執行する三菱重工業(株)に納入され、同社のH-IIAロケット17号機に組み込まれます。なお、同ロケットは今春の打ち上げに向けて準備作業が進められます。

今回出荷した衛星フェアリングは、直径4メートルのシングル・タイプ(4S型)で、この中に米国のスペースシャトルや欧州のアリアンVロケットと同等の大型衛星を1基収容することができます。H-IIAロケット17号機では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の金星探査機「PLANET-C※2」(あかつき)が収容され、その他に小型ソーラー電力セイル実証機(IKAROS※3)と公募小型副衛星4機が相乗りとなる計画です。

当社は、1988年にH-IIロケット向けに衛星フェアリングを納入したのを皮切りに、H-IIロケット向けは計7機分を納入しています。H-IIAロケットにおいても、4メートル・シングル・タイプ(4S型)、4メートル・デュアル・タイプ(4/4D型)、5メートル・シングル・タイプ(5S型)の各種衛星フェアリングを開発・製造し、計16機分を納入した豊富な実績を持っています。

当社が開発・製造してきた各種H-IIAロケット用衛星フェアリングは、大型衛星や2基の衛星の同時打上げなど多様な打上げ需要に対応できます。当社は、今後も衛星フェアリングの開発・製造を通して、我が国の衛星打上げビジネスに積極的に貢献していきます。

□H-IIAロケット17号機用衛星フェアリングの概要
  4メートル・シングル・タイプ(4S型)
全長   12メートル
直径   約4.1メートル
搭載できる衛星   長さ約10.2メートル、直径3.7メートルまでの衛星

※1 : 衛星フェアリングは、衛星を格納する部分でロケット先端部に取り付けられ、打ち上げ時の空力加熱、音響(振動)などの過酷な環境から衛星を保護するためのものです。これは大気圏外に達した後、左右に2分割して衛星を分離します。
※2 : PLANET-Cは、宇宙航空研究開発機構が開発した金星の気象と気候を多面的に精密調査する探査機で、紫外線カメラや赤外線カメラ、電波により金星の大気の運動を連続的かつ精密に調べることを任務としています。
※3 : IKAROS(Interplanetary Kite-craft Accelerated by Radiation Of the Sun)は、超薄膜の帆を広げ太陽光圧を受けて進む宇宙船で、帆だけで宇宙空間を航行できること及び薄膜太陽電池で発電できることの実証をめざします。