世界最高レベルの低NOx排出値を達成するガスタービン燃焼技術を新開発

2009年12月16日

 

川崎重工は、自社開発した天然ガスを中心とするガス焚きのガスタービンに搭載するドライ・ロー・エミッション(DLE)燃焼器について、予混合燃焼を高度化させ、世界最高レベルの低NOx排出値を達成するガスタービン燃焼技術を新開発しました。これにより、7MW級のM7A-03ガスタービンのNOx排出保証値を、現行標準値である25ppm以下(O2 15%換算値、以下同じ)から世界最高レベルの15ppm以下に引き下げることに成功しました。同クラスの国産DLE燃焼器としては、初めてNOx排出値15ppm以下を保証します。

NOxは空気中で燃料を燃焼する過程で生成され、生成量はその燃焼温度に強く依存します。DLE燃焼器は、燃料を空気と混合させて希薄な状態で燃焼させる予混合燃焼方式を採用することにより、水や蒸気の噴射に拠らず燃焼温度を低く制御することができ、経済的にNOxの排出量を大幅に削減できることから、最近ではDLE燃焼器を搭載するガスタービンが主流となっています。
しかし、予混合燃焼方式は不安定燃焼を発生しやすく、特に低NOx化を進める程その可能性は高まる傾向があるため、DLE燃焼器の低NOx化には難しい技術開発が求められます。

当社は、これまで予混合バーナと追い焚きバーナを組み合わせた燃焼の安定性に優れた独自開発のDLE燃焼器を開発・商用化してきました。今回の技術開発では、この実績のあるDLE燃焼器をベースとして、それぞれのバーナについて高性能化を図り、特に追い焚きバーナについては混合性能の高い小型バーナを新開発することにより更なる低NOx化を達成しました。

NOxは、光化学スモッグや酸性雨の原因となることから定置式のガスタービンについて国内外で厳しく排出が規制されています。特に、大気環境保全に関心の高い米国や欧州では、近年このNOx排出規制を25ppmから15ppm以下に強化する州や地域が増えており、今後この傾向は他の地域においても広まるものと予想されます。

当社は、他の主力機種に対しても、NOx排出値15ppmを保証する新型DLE燃焼器の開発を行っており、適宜市場に投入していきます。
NOxに対する排出規制強化は今後も一段と進み、将来的にはNOx排出値9ppm以下まで強化されることが予想されています。当社は、このようなNOx排出規制強化に対応するため、NOx排出値15ppm以下の DLE燃焼器で開発した低NOx燃焼技術をさらに発展させる研究を進めており、高効率化と共に低エミッション化の革新的な技術開発により、地球環境の改善に貢献していきます。

 

 

構造イラスト