社会貢献への共通理念に基づく戦略的産学連携―神戸大学と川崎重工の新しい試み―

2006年10月23日

 

 

  【趣旨】
国立大学法人神戸大学(学長:野上智行/以下、神戸大学)と川崎重工業株式会社(代表取締役社長:大橋忠晴/以下、川崎重工)は、平成18年10月23日付けで「産学連携の推進に関する協定書」を取り交わしました。

神戸大学は研究、教育および地域貢献活動を加速するため、また川崎重工は自社の*コア技術や基礎技術力の強化を図るため、これまでにもいろいろなテーマについて共同研究を実施してきました。
両者は人的・地理的に近く、密接な連携が可能であり、さらに共同研究の効率を上げるうえで、自然科学系のみならず社会科学系も含めて戦略的な連携を行うことが双方にとってメリットがあると判断し、戦略的連携協力を推進することで両者の合意が得られました。

【連携の意義と目的】
本協定は、両者が戦略的な産学協力関係を構築することによって、互いの研究・技術シーズの集積などを活かし合うなかで、相互のメリットを追求し、神戸大学の「知」と川崎重工の「ものづくり」により新たな価値や事業を創出し、社会に貢献することを両者共通の理念としています。
この理念にもとづき、神戸大学と川崎重工は両組織間で互いの協力関係の重要性を認識し、理念の実現に向け、連携活動を推進していきます。
神戸大学は、基礎研究が促進できるとともに、インターンシップを含めて学生の教育も活発になります。
川崎重工は、神戸大学との戦略的連携によって、必要とする広範囲で多岐にわたる技術・知識を補完・補強し、新製品開発に必要な自社の*コア技術や基礎技術力の強化、エネルギー・環境分野の新技術開発・事業育成を図っていきます。

また、戦略的連携を行うことによって双方の情報の窓口を広げ、新たな事業領域を探るとともに、新規に必要となる未踏分野での技術的基盤を整備していきます。

【連携活動の運営と具体的な内容】
本戦略的連携活動の運営は三つの階層別交流会を設置し、相互理解と研究・開発テーマの選定、推進を行います。
戦略的連携の方向付け、レビューなどの運営方針の協議・策定は2者の連携責任者を長とする戦略委員会で実施します。
また、戦略委員会の指名による企画委員会で、以下のような具体的な戦略的連携活動を実施していきます。
  (1) 広範囲の連携を目的とした交流会
  (2) 共同調査・研究
  (3) 相互人材交流
  (4) 施設・設備・図書などの相互利用
  (5) その他、連携協力の推進のために必要な活動
さらに個別の共同研究テーマについては、共同研究チームを設置して、研究開発の推進・フォローアップを行います。具体的な共同研究テーマとしては、原油高騰や世界的な水危機などのエネルギー・環境問題を解決していく技術開発として、例えば二次電池の高性能化や水の浄化・リサイクル技術の研究開発などに取り組んでいく予定です。

神戸大学と川崎重工では、戦略的連携活動を通して重点分野の補強、基盤・要素技術力強化ならびに新事業領域探索を行い、研究開発のスピードアップと効率化、新たな価値や事業の創出を図り、社会に貢献してまいります。


注釈: *コア技術
  自社の製品開発においてベースとなる技術