アスベスト溶融無害化処理システムの販売事業開始(カワサキプラントシステムズ)

2006年09月06日

  川崎重工は、アスベスト溶融無害化処理システムの販売事業を開始します。

本システムは、プラズマ溶融炉(PEM炉)を中心に構成し、難処理有害廃棄物の効率的な無害・再資源化が可能であるPEM炉の特長を活かして、アスベストを溶融し無害化処理するものです。
当社では、今回の販売事業開始に先立ち、川崎重工の自社工場でPEM炉による実証試験を行い、飛散性の白石綿および青石綿、非飛散性のアスベスト(建材スレート)を高温で熱分解し溶融無害化を行った結果、全て無害化されていることを確認するとともに、廃棄物処理時に生成するガラス状副生成物も有用資源として再利用可能なことも確認しています。また、試験中の作業場内、周辺環境の大気モニタリングも行い、安全性に関する各種データの確認も合わせて行いました。

本システムの主な特長は次のとおりです。
(1) 炉体上部の投入口よりアスベストを投入し、アスベストを1,500℃以上の高温で熱分解し、溶融無害化を行います。炉内部の溶融ガラス層上面で3,000~5,000℃のプラズマアークにさらされることで、ビニール等の有機物は元素レベルに分解され、アスベスト等の有機物は溶融し、ガラス層内に溶け込み排出されて溶融固化ガラスとなります。
(2) 混入している金属成分は溶融し、炉底部にたまり排出され、溶融固化金属として回収されます。
(3) 投入されたアスベストは、最終的に固化ガラスになることで1/10から1/20に減容されます。
(4) 固化ガラスは、一般の産業廃棄物として処分が可能となり、処理費用の削減と処分場の延命に貢献できます。
(5) 一般的な燃焼方式と異なり、排ガス量が極めて少なく、後流のガス処理系統に未溶融アスベストの排出がありません。
(6) PEM炉の無害化性能が高いことに加えて、炉体を含むシステム系内を負圧制御しており、さらに設備全体を負圧建屋で覆うことで、より高い環境への配慮がなされています。

当社は、PEM炉のラインアップとして、2~3トン/日から20~30トン/日の処理能力(750~9,000トン/年)の設備を有しています。今後本システムを自治体や産廃処理業者に販売することにより、現在、環境省が進めている全国の飛散性アスベストの早期処理方針に大いに貢献できると考えています。

当社は、今後とも環境負荷低減とエネルギーの有効利用に寄与する設備の開発・販売に注力していきます。