「ギガセル」によるピークカット機能を備えた太陽光発電システムを納入(カワサキプラントシステムズ)

2006年08月31日

 

 

 

  川崎重工は、学校法人八千代松陰学園(千葉県八千代市)にピークカット、自立運転機能付の太陽光発電システム(100kW)を納入しました。本システムは、太陽電池モジュール、パワーコンディショナにあわせて、川崎重工が開発した大型ニッケル水素蓄電池「ギガセル」を設置することにより、太陽光発電電力を有効利用し契約電力を低減する初めてのシステムです。
本システムでは、八千代松陰中・高等学校キャンパスの新築第1体育館の屋根上に太陽電池モジュールを、屋内地下に「ギガセル」を設置しています。
川崎重工は、システム全体の設計から、試運転を含む施工まで工事一式を請負いました。

太陽光発電は無限の太陽光をエネルギー源とする、温暖化ガス、廃棄物、騒音等を発生しないクリーンなエネルギーとして普及が期待されています。導入事業者にとっては、発電した電力分の電気料金が減り、余剰電力を電力会社に売電できるというメリットに加えて、ピーク時の電力使用量を太陽光発電電力で補うことにより、電力会社との契約電力を低減することが可能ですが、従来の太陽光発電システムでは、発電出力が日照条件・気象条件に左右され、発電電力が低下する曇り・雨天時にエアコン等を使い使用電力が増加する場合などには、受電電力のピークカット効果は不確実でした。
今回納入したシステムは、太陽光発電電力不足時には受電電力が契約電力を超えることのないよう、「ギガセル」から放電して電力不足を補うことが可能で、さらに万一、蓄電容量が不足する場合は負荷制御を行う機能を有しており、確実にピークカットを実施できます。また、災害時等万一の停電時には、自立運転機能により、学校内の重要負荷に太陽電池と蓄電池から給電することが可能なシステムとなっています。
なお、本システムは、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「太陽光発電新技術等フィールドテスト事業」に採択され、NEDOと八千代松陰学園の共同研究事業として建設されたものです。

八千代松陰学園は、四季を通して緑豊かな自然に囲まれた13万平方メートルを越す広大なキャンパスを有する学校で、環境教育にも熱心に取り組んでおり、地球温暖化問題の啓蒙活動の一環として2001年に当社による70kW太陽光発電設備を導入しており、今回のシステム導入により、同校の発電規模は合計170kWと、国内の教育施設では最大級のものとなりました。同校では、今後ピークカット効果などを実証するとともに、環境教育の充実に大いに活用することを考えています。

川崎重工が開発した「ギガセル」は、高速の充放電に最適な蓄電池であり、今後ピークカットシステムのほか、風力発電の出力平準化、車両駆動、回生エネルギー吸収用、マイクログリッド等分散型発電システムの負荷平準化、瞬低・停電対策UPS用蓄電池等への適用拡大を目指しています。

また、「ギガセル」を使った太陽光発電システムは契約電力量を削減し、環境効果も期待できるシステムであることから、学校等の公共施設や企業に需要があると期待しており、川崎重工では、今後大容量、高機能化太陽光発電システムの分野に注力して事業展開を行っていきます。
今後両社は、これらの実績をベースに太陽光発電システム事業をさらに推進していくとともに、風力やバイオマスなど自然エネルギーによる発電分野で積極的な事業展開を図っていきます。