自社開発の木質バイオマスガス化発電システムによる高知県仁淀川町のバイオマスエネルギー実験事業に参画(カワサキプラントシステムズ)

2006年07月13日

  川崎重工は、高知県仁淀川町が取り組む実験事業に参画し、自社開発の木質バイオマスガス化発電システムの実証試験を実施します。

本事業は、仁淀川町が独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から「バイオマスエネルギー地域システム化実験事業」として委託を受けて取り組むものです。
今回当社は、木質バイオマスによる小規模分散型としては世界で初めてとなる流動層ガス化・ガスタービン発電設備等を供給するとともに、今後同町より再委託を受け実証試験を実施し、経済性の評価を行います。なお、設備の設置を2007年3月までに完了し、その後2009年度まで実証試験を実施する予定です。

本設備は、木質バイオマスを利用したガスタービン発電設備および排熱ボイラにより蒸気を発生させる熱電併給システムと、ガスタービン排熱を利用したペレット製造設備で構成されます。
実証試験では、株式会社ソニア佐川工場(高知県佐川町)に設置するガス化発電システムにより、林地残材等を利用して150kWの発電を行うとともに、排熱ボイラにより工場内の木材乾燥機に蒸気を供給します。また、排熱ボイラの排熱を利用して600トン/年の木質ペレットを生産し、地元の温泉・宿泊施設や養護施設など4ヶ所で重油代替燃料として利用します。
実験事業は、仁淀川流域の森林に放置されている林地残材、間伐未利用材を有効利用し、将来的に地域で必要なエネルギーを自給するシステムを構築することを目的としています。仁淀川町では、本事業を通じて林業の構造転換を図り、雇用の創出と地域の活性化を進めることが期待されており、当社の木質バイオマスガス化発電システムは小規模で高効率なエネルギー転換技術として、これに寄与するシステムと高く評価されています。

当社は、NEDOの委託を受け、(財)エネルギー総合工学研究所、高知県、東京大学、東京農工大学、島根大学などと共同で本システムの開発に取組み、2004年度に開発を完了しています。本システムは、当社が開発した流動層ガス化炉とガスタービンによる低カロリーガス燃焼技術を適用した独自のシステムであり、日量数トン程度と少量の木質バイオマスを対象としたシステムでは、世界で初めてガス化・ガスタービン発電に成功しています。本システムでは、流動層ガス化炉にて約650℃で木質バイオマスを熱分解によりガス化し、多量のタール分成分を含む生成ガス(COとH2)をそのままガスタービン燃焼器に導入してガスタービンによる発電を行います。従来、処理が困難なことから除去または分解されていたタール成分を高温のままガスタービンに導入し、燃料として有効利用しているため、同規模の直接燃焼・蒸気タービン発電方式に比べ約3倍の高効率発電が可能であり、小規模なバイオマスを利用できます。

当社は、バイオマスや風力、太陽光などの未利用で再生可能なエネルギーの有効利用を促進する最新技術の開発や製品の拡販を通じて、温室効果ガス排出量削減や資源の有効利用による循環型社会構築に貢献していきます。

□設備の概要
(1) 設備構成:流動層ガス化炉、ガスタービン発電設備、排熱ボイラ、ペレット製造設備
(2) 燃料:林地残材(末木、枝条、曲材等)の破砕物
(3) 発電電力:150kW
(4) 発電端効率:13.3%
(5) 蒸気発生量:400kg/h
(6) 運転時間:2,000時間/年間
(7) ペレット生産量:600トン/年間