石川県珠洲市向けバイオマスメタン発酵処理施設を受注

2006年03月15日

   
 

川崎重工は、石川県珠洲市より、同市浄化センター内に設置するバイオマスメタン発酵処理施設を受注しました。本施設は、国土交通省が環境省と連携して推進するバイオマス利活用に関する初の事業であり、国土交通省の「新世代下水道支援事業制度」に採択されるとともに、環境省の支援を受け設置されるものです。

今回受注した施設は、下水汚泥やし尿などの有機性廃棄物と珠洲市の主要産業である水産加工の過程で発生する生ごみなどの事業系廃棄物を集約混合処理し、同時に処理過程で発生したメタンガスを施設の加温や汚泥を乾燥する際の熱エネルギーとして有効活用する先進的な施設です。また、本施設で製造された乾燥汚泥は有機肥料として地域に還元され、循環型社会の形成に大きく貢献します。

本施設は、各バイオマスの受入・前処理設備、汚泥濃縮設備、メタン発酵設備、汚泥脱水設備、汚泥乾燥設備、加温設備、脱臭設備などで構成されており、特長は以下のとおりです。

「バイオマスメタン発酵処理施設」の特長

1. バイオマスを混合してメタン発酵処理することにより、従来の個別処理と比べてライフサイクルコストの大幅な低減が計れます。
2. 各バイオマス原料の発生量、質の変化にも大きな影響を受けず、将来にわたり安定した運転が継続できます。
3. 各バイオマスの前処理設備は、プラスチックなどの発酵不適物を効果的に除去できるよう配慮されています。特に魚のアラなど水産加工廃棄物を含む生ごみについては、破砕分別機に改良を加えることにより高い回収率を得るとともに、可溶化処理を行いメタン発酵の効率化を計っています。
4. 鋼板製縦型メタン発酵槽は、当社が海外から導入した技術をベースに改良を加えたもので、効率的なメタン発酵が行えます。
5. 本施設から発生する排水は既設水処理施設で処理するため、新たな設備を付加する必要がなく、浄化センター放流水にも影響を与えません。

 

当社はこれまで、畜産系バイオマスメタン発酵処理施設で実証設備を含む2件の実績を有するとともに、生ごみのメタン発酵処理についても実証試験を行うなどバイオマスエネルギーの利活用に積極的に取り組んでいます。

今後とも当社は、バイオマスや風力などの未利用で再生可能なエネルギーの有効利用を促進する技術開発や製品の拡販を通じて、温室効果ガス排出量削減や資源の有効利用による循環型社会構築に貢献していきます。

施設の概要
発注者 石川県珠洲市
工事名称 珠洲市バイオマスメタン発酵施設機械設備工事
工事場所 石川県珠洲市熊谷町地内
完成予定 2007年3月30日
施設規模
 
日平均
(日最大)
事業系生ゴミ
1.4wt/日
(2.4wt/日)
下水汚泥
15.3wt/日
(22.5wt/日)
し尿
7.6wt/日
(11.3wt/日)
浄化槽汚泥
8.1wt/日
(14.6wt/日)
農業集落排水汚泥
0.5wt/日
(0.7wt/日)
合計
32.9wt/日
(51.5wt/日)