最新鋭の国産ヘリコプター「川崎式BK117C-2型ヘリコプター」のドクターヘリ仕様機が運航を開始

2003年08月05日

川崎重工は、最新鋭の国産ヘリコプター「川崎式BK117C-2型ヘリコプター」のドクターヘリ仕様機を開発し、8月5日より岡山県の川崎医科大学附属病院で運航が開始されました。本ドクターヘリ仕様機は、国内のドクターヘリ運航現場のニーズに対応すべく当社が独自開発した医療専用床や担架、医療機材ラック、救急医療用シート等からなる「ドクターヘリ・キット」が装備されています。

「川崎式BK117ヘリコプター」は、川崎重工と欧州のヘリコプターメーカーMBB社(メッサーシュミット・ベルコウ・ブロウム社、現ECD社:ユーロコプタードイツ社)が共同開発したヘリコプターで、物資・人員輸送、消防防災、警察、ドクターヘリ(救急救命)など多用途に活用される中型双発機です。また同機は、優れた安全性・操縦性、コンパクトな機体形状、物資・人員・担架などの搬送に適した大型の機体後部観音開きドアを特長とし、2003年3月末までに当社受注分で137機、ECD社受注分を合わせると全世界で494機の納入実績を誇るベストセラー機です。

今回ドクターヘリ運航業務を開始する「C-2型」は、「川崎式BK117ヘリコプター」シリーズの最新型で、2001年に型式証明を取得し、現在までに世界で24機、国内で5機が運航されています。「C-2型」は、従来型の特長を踏襲しながら、以下の改善が施されています。

(1)従来型機からキャビンスペースを約30%拡大し、最大全備重量を約6%、航続距離を約30%向上し、飛行能力・輸送能力を大幅に向上。
(2)新型メインローター・ブレードを採用することで、騒音・振動を大幅に低減。
(3)新型操縦室による広い視界と、統合計器システムにより計器の配列をシンプルなものにするなど快適な操縦環境を実現。

川崎医科大学附属病院は、1981年に日本ではじめてのドクターヘリの実験運航を行って以来、一貫してドクターヘリの実現を訴えてきたパイオニア的病院であり、2001年のドクターヘリ本格運航開始とともに、当社の関連会社カワサキヘリコプタシステム(株)が「BK117C-1型」を使用し運航してきました。今回、その「BK117C-1型」に替わり、「BK117C-2型」ドクターヘリ仕様機が投入されます。

今後当社は、「川崎式BK117ヘリコプター」の性能向上および装備品の充実などを通して、ドクターヘリの普及に貢献していきます。

ドクターヘリは、1970年からドイツで本格的な運用が開始された救急救命医療システムで、わが国においては厚生労働省の補助事業として2001年から本格運航が始まり、現在は全国7拠点で稼動しています。その1拠点である川崎医科大学は、本格運航開始以前からドクターヘリの有用性に着目し、独自に運航実績を重ねてきたパイオニアです。