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宇宙機の大気圏再突入時の熱防御技術実証に成功

2003年06月25日

 

川崎重工は、(財)無人宇宙実験システム研究開発機構(USEF)が開発した次世代型無人宇宙実験システム(USERS)の大気圏再突入において、自社開発した熱防御技術の実証に成功しました。

USERSは、USEFが経済産業省および新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託を受けて開発したものです。USERSは、宇宙空間での微小重力環境を活用した超電導材料製造などの実験結果を、回収カプセル(REM:Re-Entry Module)により回収するシステムを有し、実験結果をスペースシャトルなどの輸送手段を使わずに簡便かつ自在に地上にて回収できるため、今後宇宙空間の産業利用の促進を図ることが期待されています。

当社は、USERSにおいて、REMの熱防御技術と主構造の開発・製造を担当しています。この熱防御技術は、自社開発の軽量で熱防御性に優れたCFRP(炭素繊維複合材)製の「アブレータ」と呼ばれる熱防御材と断熱材を用いることで、大気圏再突入時に空気との間に発生する摩擦熱(空力加熱)などによる加熱および空気から受ける力(動圧)からREM内の機器を保護する技術です。大気圏に再突入する際、REMの外表面温度は約2,300℃まで上昇しますが、今回の熱防御システムの採用によりREMの内表面温度を約230℃以下に保つことを可能としました。

USERSは、2002年9月にH-IIA3号機により打ち上げられました。REMは2003年5月30日(打上げから約8ヶ月半後)に、実験衛星本体SEM(サービスモジュール)から軌道上で分離され、宇宙空間で無人製造した超電導材料を搭載し、小笠原東方海上で回収されました。宇宙空間から地上に帰ってくる宇宙機の回収に成功したのは、わが国では初めてのことです。

REMのアブレータは、再突入時の空力加熱により高温になり、最後には炭に変化(炭化)しますが、炭化の過程でガスを噴出しアブレータ自身の温度上昇を抑えます。回収されたREMのアブレータは炭化が進み苛酷な再突入環境に曝されたことが分かります。今回のREM回収の成功は、わが国が宇宙機の回収技術を保有したことを意味するとともに、当社の熱防御技術が実証されたことになります。

今後は回収されたアブレータの質量分析や数値シミュレーション解析との照合など、さらなる分析・評価が予定されています。

なお当社は、これまでに宇宙関連分野では、H-IIAをはじめとする各種ロケットのフェアリングや技術試験衛星VII型(織姫/彦星衛星)のドッキング機構・近傍センサー等、更には国際宇宙ステーション計画の日本実験棟開発における、機構系(結合機構およびエアロック)や環境制御生命維持装置系などを開発・製造した豊富な実績を持ちます。

また、複合材分野では、航空機用として独自に低コストと高強度を両立した低コスト複合材「KMS-6115」を開発し、自社製「川崎式BK117C-2型ヘリコプター」のオプション部品やボーイング737型機用の複合材製主翼翼端部(ブレンディッドウイングレット)、エンブラエル社と共同開発中のエンブラエル170型および195型の主翼部品などに採用されています。

当社は、今回のREM回収成功をもとに、今後需要の増加が期待される宇宙機の回収などに自社開発の熱防御技術などを活用し、宇宙の産業利用の促進に貢献していきます。

※USERS:Unmanned Space Experiment Recovery System(次世代型無人宇宙実験システム)

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