国内初の次世代型舶用推進機「ポッドペラ」を新開発

2003年03月25日

 

川崎重工は、次世代の舶用推進機であるポッド型電気推進機「ポッドペラ」を国内で初めて自主開発しました。

今回開発したポッド型電気推進機「ポッドペラ」は、船内のディーゼルエンジンや電動機からの動力をシャフトにより伝えていた従来の舶用推進機と異なり、プロペラ駆動用の電動機をポッドと呼ばれる筒状の推進機本体に内蔵し、電動機とプロペラを直結した舶用推進機です。この推進機は、船内の発電機から電線により動力を伝達するため、従来の舶用推進機と比べ、船内スペースの有効利用と積載能力の増加が可能になるとともに、操船性能の向上、港内操船時間の短縮、さらに据付作業やメンテナンス性の向上が図れます。

また、「ポッドペラ」は、回転数制御装置、電動機、プロペラで構成する、水平面内360度の方向に任意の推力が出せる旋回式推進機で、一般商船の主推進機として機能するとともに、舵取機とスターンスラスタの機能を備えています。同機は、すでに製品化しているギア駆動の旋回式推進機「レックスペラ」の開発・製造などで蓄積したノウハウと、コンピュータを用いた数値流体力学(CFD)による解析、模型・実証機による徹底した確認試験を通じて開発され、世界トップレベルの推進性能と大幅な小型化を達成しています。

「ポッドペラ」の主な特長は、以下のとおりです。

世界最小クラスの誘導電動機(西芝電機(株)と共同開発)を採用しており、コンパクトで高性能の推進機です。
旋回用にも電動機を採用し、推進機全体の動力源を電気に統一しています。
構成機器をユニット化し、冷却や潤滑ユニットなどの主要機器はすべて推進機本体と一体化しており、コンパクトでメンテナンス性に優れます。


ポッド型電気推進機は、1990年に欧州の造船所と電機メーカーが共同で開発して以来、6~20MWクラスの大容量推進機が、大型客船や砕氷船などの特殊用途船に採用されています。現在では、国土交通省が進める「スーパーエコシッププロジェクト」(次世代内航船の研究開発)において、ポッド型電気推進機の採用が予定されるなど、ポッド型電気推進機の高効率性や利便性、対環境性能が評価され、一般商船にも適用範囲が広がりつつあり、今後の需要増加が見込まれます。

今回の開発では、当社は出力1,000kWの小型実証試験機を設計・製作し、実負荷試験と旋回機能確認試験により、計画出力の達成と各種機能の確認を行いました。今後は、大型機へのラインアップ拡充を進めるとともに、国産第1号機の受注を目指します。

当社は、今回の「ポッドペラ」の開発を機に、需要拡大が見込まれる電気推進機市場において積極的に事業展開を図るとともに、高効率で操船性能の高い舶用推進機の開発に注力していきます。

※1「ポッドペラ」は川崎重工の登録商標です
※2船を横方向に移動させるために使用する、船尾に装備したサイドスラスタ