発電効率30%を達成する国内最大のRDF発電プラントを納入

2003年01月17日

 

川崎重工は、発電効率30%を達成する国内最大規模のRDF(Refuse Derived Fuel、ごみ固形燃料)発電プラント「大牟田リサイクル発電所」を、大牟田リサイクル発電(株)に納入しました。

今回納入したRDF発電プラントは、福岡県、電源開発(株)、大牟田市等が出資する第3セクター・大牟田リサイクル発電(株)から受注したもので、現在大牟田市が推進中の「大牟田エコタウンプラン」(※1)の中核施設と位置付けられているものです。RDF処理能力は315t/日、またRDF発電出力では国内最大能力20,600kWを有しており、本プラントの焼却炉は、当社が独自開発した内部循環流動床炉を採用しています。

従来のごみ焼却による発電は、排ガス中の塩化水素によるボイラ過熱器の高温腐食が原因で、最新鋭のプラントでも蒸気条件を40気圧・400℃程度で制御し20%前後の発電効率が限界とされてきました。これに対し内部循環流動床炉は、RDF焼却熱による高温の熱砂を塩化水素の少ない収熱セル内に循環させ、この中に過熱器を設置することにより83気圧・503℃のボイラ蒸気を回収し、石炭火力発電に匹敵する30%以上の発電端効率を達成しました。

これらの技術を確立するために、当社は他社にさきがけ燃焼実証設備(焼却能力24t/日)を1996年に神戸市西区の自社敷地内に建設、高効率発電の研究開発を進め、内部循環流動床炉によるRDF発電技術の実証試験を積み重ねてきました。本プラントの竣工は、こうした技術開発の成果が大きく結実したものといえます。

また当社はRDF製造技術でも、当社の独自技術による破砕・乾燥・選別・圧縮成形などの豊富な実績をベースに、電源開発(株)と北九州市の協力を得て、1996年~2002年に北九州市小倉北区にRDF製造実証設備(RDF製造能力10t/日、ごみ処理能力20t/日)を建設し、実証及び実運転を行っています。

そして2002年12月に、当社は石川島播磨重工と共同で大牟田リサイクル発電所に隣接する国内最大級のRDF製造プラント(ごみ処理量:225t/日)を、大牟田・荒尾清掃施設組合に納入しました。本プラントは、福岡県大牟田市と熊本県荒尾市で収集された1日のごみ処理量225tから、RDF(約122t/日)を製造します。

今後当社は、これらの納入実績をもとに、RDF関連分野での技術の信頼性を高めるとともに、さらに環境装置関連分野において、積極的な営業展開を図ります。

■大牟田リサイクル発電所の概要

  1。発注者 大牟田リサイクル発電株式会社
(出資:福岡県、電源開発(株)、大牟田市他RDF供給自治体、当社)
  2。建設場所 福岡県大牟田市健老町
  3。敷地面積 24,700m2
  4。施設規模 RDF処理能力315t/日(24h)×1基
  5。炉形式 内部循環流動床炉(ボイラ圧力83kg/cm2。G×503℃)
  6。発電出力 20,600kW
  7。設備構成 ボイラ、タービン・発電機、排煙処理装置、RDF貯蔵サイロ等

(※1)大牟田エコタウンプラン: RDF発電所によるダイオキシン類対策をはじめとした広域的な環境保全と新産業の創出を目的に、21世紀の成長産業として期待されている環境・リサイクル産業の創造・振興の取組みを進めている。