H-IIAロケット3号機用フェアリングを出荷

2002年07月31日


 

 川崎重工は、H-IIAロケット3号機用フェアリングを宇宙開発事業団(NASDA)種子島宇宙センター向けに、当社播磨工場(兵庫県播磨町)より出荷しました。本フェアリングは、種子島宇宙センターでH-IIAロケット3号機に組込まれ、9月10日に打上げられる予定です。

 今回出荷したフェアリングは、同時に2基の衛星を搭載することができる4メートル・デュアル・タイプ(4/4D型)で、試験機2号機と同タイプです。
 H-IIAロケット3号機は、データ中継技術衛星(DRTS)と次世代型無人宇宙実験システム(USERS宇宙機)を搭載します。当社は、USERS宇宙機において、リエントリモジュール(REM:地球周回軌道から地球に帰還するモジュール)の主要構成部分である主構造および熱防御(アブレータ)を開発・製作しました。

 当社は、1988年にH-IIロケット向けにフェアリングを納入したのを皮切りに、H-IIロケット向けでは計7機分、H-IIAロケットにおいても、試験機1号機向け4メートル・シングル・タイプ(4S型)、試験機2号機向け4メートル・デュアル・タイプ(4/4D型)を納入してきました。

 H-IIAロケットは、世界的にも例の少ない衛星2基同時打上げおよび大型衛星など多様な打上げ需要に対応できることを特長としております。当社はフェアリングの開発・製造を通して、我が国の衛星打上げビジネスに、積極的に貢献していきます。

※1:DRTS(Data Relay Test Satellite)は、将来の宇宙機からの高度な運用要求に対応する目的で、既存衛星のデータ中継機能、性能の向上とデータ中継範囲の拡大を図るための軌道上の中継衛星です。低軌道の宇宙機や宇宙ステーション等と地上局との間の通信を中継し、衛星間通信実験を行います。
    
※2:USERS(Unmanned Space Experiment Recovery System)宇宙機は、経済産業省および新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託を受けて、財団法人無人宇宙実験システム研究開発機構(USEF)が開発を進めている無人宇宙実験システムです。良質の環境のもとで長期の軌道上実験を可能とするとともに自ら帰還する能力を有しており、大気圏に再突入して帰還するリエントリモジュール(REM)と、そのREMにリソースの提供や通信のサービスを行うサービスモジュール(SEM)により構成されています。今回は高温超電導材料の製造実験を行い、打上げから約8。5ヵ月後に成果物を回収する計画です。