世界初の再生サイクル式ガスタービンコージェネレーション設備をサッポロビールより受注

2002年03月19日

 

川崎重工は、新開発した再生サイクル式ガスタービンコージェネレーション設備を、サッポロビール株式会社より受注しました。本設備は2003年3月末、同社仙台工場(宮城県名取市)に納入する予定です。

今回受注した設備は、中小型クラス(50MW以下)において、世界で初めての再生サイクル式ガスタービン「S1A-01」型を心臓部に持つ、700kW級ガスタービンコージェネレーション設備「PUC07D」3台です。本設備の特長は、再生サイクル式採用により総合熱効率75.3%を実現する"高い効率性"と、希薄予混合燃焼方式のドライ低NOx燃焼器を採用したことにより低NOx運転が可能である"低エミッション性"です。

再生サイクル式とは、ガスタービンの燃焼用圧縮空気を、再生熱交換器を介して高温のガスタービン排気と熱交換することにより予熱した上で燃焼器に投入するもので、単純サイクルのガスタービンよりも高い発電効率(当社従来機と比べて燃費性能を約25%向上)を実現できます。また、ドライ低NOx燃焼器は水や蒸気噴射でなく、希薄予混合燃焼方式により、NOxの排出を低く抑えるもので脱硝装置が不要です。

サッポロビールでは、全社で環境保全活動を実施しており、その中で省エネルギー目標、CO2排出量の削減目標を掲げています。その対策のひとつとして、工場へのコージェネレーションシステムの導入を推進しています。仙台工場では2010年までのCO2削減目標をすでに達成していますが、さらなる環境保全の推進を目指してコージェネレーション設備を導入します。本システム導入を主とする環境対策により、炭酸ガス排出量を約16%、エネルギー使用量を約5%削減することができます。

今回の受注は、当社コージェネレーション設備の高い総合効率に加え、再生サイクル式という高効率を実現する画期的なシステムによる"省エネルギー性"、ドライ低NOx燃焼器による"低エミッション性"、工場のエネルギー需要に十分に対応できる"システム構成"などが高く評価されたものです。

当社の産業用ガスタービンは、1974年に自社開発した「S1A-01」型を使用した非常用ガスタービン発電装置を発売して以来、これまでに非常用発電設備、常用発電のコージェネレーション設備などで高い信頼を得ており、現在では150~20,000kW級までのガスタービンを保有しています。また、きめ細かなアフターサービス体制により、国内では産業用ガスタービン分野で5,000台以上の納入実績を持つトップメーカーとして、つねに60%以上の市場シェアを有しています。そして海外でもアジア地区、欧米地区を中心に500件を超える実績を持っています。

当社は今後とも産業用ガスタービンのパイオニアメーカーとして、ガスタービン発電設備の開発、販売、アフターサービスに注力するとともに、今後需要の増加が予想される分散型発電設備の分野において、顧客のニーズに応えるべく受注拡販に積極的に取り組んでいきます。

<本設備の概要>
発電出力:650KW×3台
発電端効率:23.5%
総合熱効率:75.3%
NOx値:20ppm以下(O2=16%)
燃料:天然ガス

※東京ガス、大阪ガス、東邦ガスとの共同開発