高強度の航空機用炭素繊維強化複合材料を新開発

2001年10月31日

川崎重工は、航空機に用いる新しい炭素繊維強化複合材料(以下CFRP)「KMS-6115」を開発しました。この新複合材料は、画期的な低コストと強度の両立を達成したもので、このたび当社製最新鋭の川崎式BK117C-2型ヘリコプターのオプション部品の開発(型式設計変更)に関連して、国土交通省航空局より航空機用材料として適当であることが認められました。

従来の航空機用CFRPでは、高品質と高強度を実現するために、特殊なグレードの炭素繊維を使用しており、生産量も少なく非常に高価な素材でした。

当社が開発した「KMS-6115」は、最新の高性能かつ低コストの一般産業用炭素繊維と、低コスト高靭性エポキシ樹脂で構成されています。今回当社は、エポキシ樹脂に接着能力も併せ持たせることで性能面では引張強度で60%、圧縮強度で30%の向上を実現するとともに、コストの低減を図ることができました。

この「KMS-6115」は、ヨーロッパならびに米国においても航空機用材料として申請を行う予定です。各国で新複合材が航空機用材料として認められれば、米国ボーイング社をはじめとする世界中の航空機メーカーに対し、複合材料部品向けとしてコスト競争力のある「KMS-6115」を提案することが可能となります。

すでに「KMS-6115」は、現在当社がブラジルのエンブラエル社と共同開発中であるERJ170型およびERJ190型旅客機の主翼動翼部の部品にも採用されることが決まっています。今後とも当社は、多くの航空機開発に「KMS-6115」の適用範囲を拡大していくとともに民間航空機事業の強化を図っていきます。