家畜排せつ物を資源化して循環利用するバイオガスシステムを納入

2001年04月10日

川崎重工は、独立行政法人北海道開発土木研究所向けに、家畜排せつ物を資源化して循環利用するバイオガスシステムを納入しました。納入したシステムは、北海道開発土木研究所が、積雪寒冷地において家畜排せつ物の適切な処理と循環利用を行うバイオガスシステムの試験・研究を行うもので、設置場所は北海道湧別(ゆうべつ)町です。

本システムは、周辺酪農家より出される家畜排せつ物を主原料とし(全体で乳牛約200頭規模)、メタン発酵により良質な液肥を製造し、有機物資源として効率的に農地に還元するシステムです。同時に発酵過程で発生するメタンガスを燃料にコジェネにより発電し、施設の電力として使用する予定です。また、エンジン冷却の際に出る高温水は、システムの発酵タンクを暖める熱源や家畜ふん尿の堆肥化にも利用します。家畜糞尿以外にも農業系・水産系の有機物残滓を副資材として受け入れる試験も実施されます。

主な施設は6.3m3/日のメタン発酵施設(発電付き)、3.8m3/日の有機性堆肥化施設、試験圃場などにより構成されています。特にメタン発酵施設については「フォルケセンター方式バイオガスプラント」を採用しています。この方式は畜産糞尿の嫌気性発酵処理の中・小型プラントの実績が多い、デンマークのフォルケセンターが開発したプロセスを当社が技術導入したものです。装置に対する高度な信頼性と高効率のガス発生量により、デンマーク国内を中心に高い評価を得ており、特長は以下の通りです。

「フォルケセンター方式バイオガスプラント」の特長

    1.消化槽、ガスホルダー、その他機器の3ユニットから構成され、各ユニットがシンプルかつコンパクト。量産が可能。
    2.従って、イニシャルコスト、ランニングコストの低減が図れ、またプラント機器類の高さが低いためメンテナンスも容易。
    3.消化槽は水平式を採用し(容量によってはサイロ式の場合もあり)、ガス発生効率の最大化を志向。
    4.脱硫システムは好気性微生物プロセスを採用し、高価な触媒が不要。

近年ヨーロッパでは、畜産業の発展にともなう環境負荷の顕在化への対応や自然エネルギーの有効利用を促進しており、デンマーク、オランダ、ドイツなどでは、循環型バイオガスシステムが急速に普及しています。一方、日本国内では、「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」(1999年11月1日施行)により、家畜排せつ物の適正処理・資源としての利用を促進することが求められています。

当社は自然エネルギーである風力、太陽光を利用した発電事業についても事業を展開しており、今回の資源循環プロジェクト施設の納入を機に、今後需要が増加すると予想される、自然エネルギー利用の分野において積極的に営業活動を展開するとともに、資源循環型社会の実現に向けて貢献していきます。