大型航空機用推力10万ポンド級のジェットエンジン運転設備を完成

2001年03月05日

川崎重工は、世界最大クラスの推力10万ポンド級大型航空機用ジェットエンジンの開発運転試験や整備運転試験等を実施できるジェットエンジン運転設備を当社明石工場に完成しました。

今回完成した運転設備は、全長約89m、幅約14m、高さ約25mの鉄筋コンクリート構造で、空気通路の型式を上方吸込み-上方排気のU字型構造とし、騒音等に配慮した環境重視型の設計としています。

当社では、この運転設備にて昨年11月からロールス・ロイス社のトレント800エンジンを用いて推力9万9千ポンドまでの運転を行い、エンジン性能試験や加減速試験の確認、および計測システムが多点・高速・高精度で計測できることを確認しました。なお、運転設備の最終的な性能確認のため、本年4月にロールス・ロイス社にて、同じトレント800エンジンを用いて性能比較試験を予定しています。

この運転設備では、今後ロールス・ロイス社との合意に基づき大型航空機用エンジンの開発試験を予定しており、この試験を通じて信頼性が高く低NOxで低騒音の、環境に配慮した最新の航空機用エンジンの実現に貢献します。また、この設備は防衛庁多用途支援機U4に搭載のテイ(TAY)エンジンの整備運転にも使用されます。

□設備の特長は、以下の通りです。

  1. エンジン各部の圧力約300点、温度約300点など多数のデータの定常計測およびエンジン加減速時など過渡状態での高速計測が可能です。
  2. 最新のデジタル通信技術を多用することにより、多点計測にもかかわらず計測用の配線・配管を極端に削減し、精密な計測データを得ることができます。
  3. 共同開発のパートナーであるロールス・ロイス社へエンジンの計測データを送信し、性能評価を当社とロールス・ロイス社の間で円滑に実施できます。

今後当社は、この運転設備をもとに航空機エンジンの整備事業も視野に入れ、ジェットエンジン事業をさらに発展させて行います。

※トレント800エンジンはロールスロイス社の登録商標です。