ME-GIエンジン主機推進プラントの実証試験開始

2013年12月16日

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ME-GIエンジン(イメージ)

 

川崎重工は、舶用電子制御式ガスインジェクションディーゼル(ME-GI)エンジンを主機とした推進プラントの開発を完了し、神戸工場でフルスケールの実証試験を開始します。

世界的な環境保全に対するニーズの高まりと燃料油価格の高騰およびLNG燃料の低価格化により、海運業界では次世代の舶用燃料としてLNGへの注目が高まっています。なかでも、現状最もエネルギー効率の高い2サイクルディーゼルエンジンを2元燃料化したME-GIエンジンは、次世代の舶用主機関として最有力視されています。当社では、このような海運業界のニーズにいち早く応え、LNG運搬船やLNG燃料船に最適な推進システムを提供するため、ME-GIエンジンを主機とした推進プラントを開発しました。

実証試験では、高圧燃料ガス供給設備とLNGタンクシステム、および各種試験に用いられてきた2サイクルディーゼル試験エンジンを改修したME-GIエンジンで構成されたフルスケールの常設試験設備を使用します。このような常設設備による試験は、造船所およびエンジンメーカーとしては、世界で初めての試みです。なお、高圧燃料ガス供給設備には、LNGをポンプによって約30MPaまで加圧した後、気化器にてガス化する「高圧ポンプ方式」を採用しています。

IMO(国際海事機関)が施行するCO排出量規制では、段階的にCO排出量の削減が要求されています。ME-GIエンジン主機推進プラントは、従来型の重油焚の2サイクルディーゼルエンジンに比べて、最大約30%のCO排出量削減が見込まれています。

本実証試験では、高圧ポンプ方式による高圧ガス供給設備の機能面および性能面の確認のほか、実船での運航状態を模擬した運転の中での操作性や信頼性および長期運転時の保守性などを確認します。また、水エマルジョン燃料※1やEGR※2など各種環境負荷低減技術とME-GIエンジンを組み合わせた試験も実施していきます。当社は、これらの実証試験により、ME-GIエンジン主機推進プラントのノウハウを蓄積し、環境負荷が少ない低燃費の船舶やエンジンを提供することで、造船・舶用工業市場での優位性を確保していきます。

当社は、海運業界へ低環境負荷の船舶を提供することを通じて、世界の人々の豊かな生活と、地球環境の未来に貢献していきます。

 

□ガス供給設備主要目

  LNGタンク容積 30m
  LNG高圧ポンプ ピストン式 2台
  高圧ベーパライザー 1台
  最大ガス供給圧力 30 MPa
  ガス供給温度 45℃

 

□ME-GI試験エンジン主要目

  型式 Kawasaki-MAN B&W 2S50ME-C-GI
  定格出力 3,320 kW
  定格回転数 127 rpm
  シリンダー径 500 mm
  ストローク 2,000 mm

 

※1 水エマルジョン燃料とは、燃料中に細かい水粒子が分散して含まれる燃料のことで、水粒子が蒸発して周囲の熱を奪うことによりシリンダー内の燃焼温度を下げ、NOxの生成を抑制する効果があります。
※2 EGR(排気再循環)とは、酸素濃度が低い排気ガスの一部をシリンダー内に再循環させることにより、低酸素燃焼を実現し、燃焼最高温度を下げてNOxの生成を抑制させる技術です。

 

 

【ME-GIエンジン主機推進プラントの構成イメージ】

 

 

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