「川崎MAGターボ」最大機種MAG-M35を連続受注

2012年03月12日

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川崎重工は、磁気浮上式高速電動機直結単段ターボブロワ「川崎MAGターボ」シリーズの最大機種であるMAG-M35型を、大阪市中浜下水処理場向けに水処理プラントエンジニアリング最大手であるメタウォーター(株)より2台、荒川左岸南部流域処理場向けに埼玉県より3台受注しました。

「川崎MAGターボ」は、下水処理施設において微生物の働きで汚水を再生させる生物反応槽へ空気を供給する送風機として用いられる装置であり、新たに自社開発したMAG-M35型は以下の技術的特長を有しています。

 
(1)
主要機器を全て自社開発し、最適化することにより、総合効率の向上を図っています。
 
(2)
インバータ制御式高速電動機のロータに羽根車を直接取り付けた構造と、磁力によりロータを浮上させる磁気軸受の採用により、ロータが軸受と機械的に接触することなく高速回転し、高効率・省エネルギーを実現し電力消費量を低減します。
 
(3)
機械的非接触より潤滑油・冷却水の供給が不要となりメンテナンス性が向上するとともに、従来型ブロワに必要な冷却水系統・潤滑油系統の補機更新が不要となります。
 
(4)
軸受制御機能の向上と軸受特性の解析機能を追加し、さらに軽量コンパクト化を実現した新型磁気軸受制御装置(MBC)を搭載することで、磁気軸受制御の信頼性を高めるとともに、メンテナンス性も向上しています。
 
(5)
 従来シリーズと同様に、ブロワ部と制御盤を分離することが可能なため、屋外設置、管廊設置など、様々な設置方法が可能です。

MAG-M35型をラインナップに加えることにより、従来シリーズである135kW級のMAG-M20型、230kW級のMAG-M25型と合わせて「川崎MAGターボ」シリーズの対応風量が30~300m/分に拡大し、幅広い顧客ニーズに対応する体制が整いました。

今回の受注は、MAG-M20、25型で積み重ねた当社の豊富な実績と技術力に対する信頼性が高く評価されたものです。

大阪市中浜下水処理場では既設の蒸気タービン駆動式多段ブロワ2台をMAG-M35型2台に更新することで、曝気(※)システムの全体最適を図ります。大阪市での下水曝気ブロワの更新は今回が初の取り組みとなります。

埼玉県荒川南部流域処理場では、7号水処理系統の新設にあたり、他水処理系統と切り離して7号水処理系統を独立して曝気するシステムを構築する計画です。本システムにMAG-M35型を採用し、高効率散気装置と組み合わせることで7号水処理系統の水処理運用に柔軟に対応できる曝気システムの構築を目指しています。

当社の「川崎MAGターボ」は、2004年に下水曝気用ブロワとして初号機を納入したのを皮切りに、今回のMAG-M35受注を含め70台を超える受注実績を積み重ねています。下水曝気ブロワは、下水処理施設における電力消費量の約40~50%を占めており、節電意識の高まりから高効率・省エネルギー化のニーズが飛躍的に高まっています。

当社はこれらのニーズに応えるため、川崎MAGターボを供給するとともに、さらなる省エネルギー化とCO削減を目指して、新製品の開発・製造・販売に積極的に取り組んで行きます。

 

※曝気 廃水処理で、空気の吹き込みや攪拌などをして、液中に酸素を供給すること。有機汚濁物質を分解する微生物の働きを促す。