世界最高の低NOx性能を持つガスタービン燃焼器を新開発

2011年09月27日

 

川崎重工は、自社開発の7MW級「M7A-03」ガスタービンに搭載するガス焚きドライ・ロー・エミッション(DLE)燃焼器について、NOx排出保証値を現行標準値である15ppm(O=15%換算値、以下同じ)から9.9ppm以下に引き下げることに成功しました。同クラスのDLE燃焼器としては、世界で初めて一桁(single-digit)のNOx排出値を保証するものです。

DLE燃焼器とは、燃料を空気と混合させて希薄な状態で燃焼させる希薄予混合燃焼方式を採用し、タービンを高速回転させるための高温ガスを得る装置です。NOxは空気中で燃料を燃焼する過程で生成され生成量はその燃焼温度に強く依存しますが、DLE燃焼器は希薄予混合燃焼方式により、水・蒸気などを噴射せずに燃焼温度を低く制御してNOx排出量を削減できるため、最近ではガスタービンに搭載する燃焼器として主流となっています。

しかし、希薄予混合燃焼方式は不安定燃焼を発生しやすく、特に低NOx化を進めるほどその傾向が強まることから、DLE燃焼器の更なる低NOx化には難しい技術開発が求められます。

当社では、これまでも燃焼安定性に優れたDLE燃焼器を独自開発してきましたが、その特徴はパイロット、メイン、追い焚きという多段バーナ構成による燃焼技術にあります。今回の技術開発では、この実績のあるDLE燃焼器をベースとして、すべてのバーナを低エミッション性能の高い予混合バーナとすることにより、従来の燃焼器から更なる低NOx化を実現しました。

NOxは光化学スモッグや酸性雨の原因となることから、定置式のガスタービンについて国内外で厳しく排出が規制されています。現状では、国内外においてNOx排出値25ppm以下とする地域が主ですが、大気環境保全に関心の高い米国や欧州では15ppm以下が標準となりつつあり、さらに10ppm以下に規制する地域も出始めています。
当社はこのようなNOx排出規制強化に対応するため、ガスタービン本体の高効率化と共に革新的な燃焼技術開発によるガスタービンの低エミッション化を進め、地球環境の未来に貢献していきます。

 

○ 構造イラスト

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