高性能船型

推進性能を大幅に向上させ省エネや運航スケジュールの短縮が実現できる中速船に最適な船型

SEA-Arrow ("Sharp Entrance Angle bow as an Arrow")

SEA-Arrow ("Sharp Entrance Angle bow as an Arrow")船型はLPG船等中速船が航走する際に造る船首波を減少させ推進性能を大幅に向上させるもので省エネや運航スケジュールの短縮が実現できる中速船に最適な船首形状です。同様な箱型のホールドを有するタンカーやバルクキャリアーと比較して、航海速度が速くできます。

資源の大量輸送を目的とする排水量型船舶の中で、LPG船の船型には以下のような特徴・制約があります。

  • 容積効率を高めるという観点より、箱型のホールドが船首部まで配置されている。
  • 港湾内の入港制限により船の全長が制限されている。

これらの制約・条件によって、従来型のLPG船は船首端の水線面入射角度が大きくならざるを得ない船型となり、航走中に大きな波が船首端より発生し、この船首波が船の前進に大きな抵抗となるため、推進性能の悪化を招いていました。

問題を解決するためLPG船特有の制約条件の中で船首波を極限まで減少させ、推進性能をさらに向上させる研究開発を行い、船首バルブの効果を残したままバルブの突出をなくしたSEA-Arrow船型を開発しました(特許取得)。

このSEA-Arrow船型は船首波による造波抵抗を半減(下の写真を参照)できるため、従来型と同一船速では主機馬力を6―10%減少、従来型と同一馬力では船速を0.3―0.5ノット増加させることに成功しました。

その結果、運航時における大幅な燃料費の削減や運航スケジュールの短縮が可能となります。

水槽試験における船首造波比較

従来型船首
新型船首(SEA-Arrow)

Kawasaki SEW (Stern End Wedge)

Kawasaki SEW  ( Stern End Wedge )
SEWは船尾端の船底が折れ曲がった特徴的な形状を持つ省エネ付加物です。SEWは高速船に対して効果があり、当社建造のコンテナ船や自動車運搬船(PCC)に装備されています。
船が造る波(造波)は船が航行する際に抵抗となり、馬力の増加をまねきます。高速船は運航時の船速が速いため、船尾端から発生する大きな船尾造波と波の乱れにより船の抵抗が増加します。SEWは船尾端付近の流れを強制的に下向きに流体を加速させ、船尾後方の水面をスムースにします。
これにより船尾端から発生する造波や波の乱れを抑え、船の抵抗を減らすことで馬力を削減します。

SEW装備による船尾後方の水面の変化(模型試験)